剣岳北方稜線
コースタイム
8月26日(くもり)
室堂11:10〜剣山荘13:30
27日(晴れ)
剣山荘6:20〜剣岳山頂8:20・8:35〜池ノ谷乗越9:40〜三ノ窓10:00・10:10〜小窓11:10・11:40
〜池の平小屋12:20・12:35〜仙人池ヒュッテ13:15
27日(晴れ)
仙人池ヒュッテ6:00〜二股7:20〜ハシゴ段乗越9:10〜内蔵助平10:20・1040〜内蔵助出合12:00
・12:15〜黒部ダム13:40
26日
八ツ峰、チンネ、小窓王などの岩峰が続く北方稜線は長年の課題であったが、今回やっと実現にこぎつけた。一般ルートでは
ないので、数少ない情報を頭に叩き込んで挑む。
5時に自宅を出て、室堂着10:25。室堂警備隊に登山届を提出の際、初めての場合危険と指摘されたが万全な準備を説明
し了承を得る。準備を整え雷鳥平、別山乗越を経由し剣山荘に到着。

27日
剣山荘を6:20に出発。天気も上々。通い慣れたルートでり剣岳までは問題ない。3年前のスキー滑降以来であるが、山頂から
の展望は相変わらず素晴らしい。

              

                              前剣からの剣岳

              

                   剣岳山頂から、室堂の向うに薬師岳や黒部五郎岳等が見える              

山頂では大勢の登山者が登頂を喜んでいる。自分の場合は、ここからがいよいよ今回のメインである剣岳北方稜線となるため
緊張感が高まる。ここからはルートがはっきりしないのでルートファンティングが重要で、ガスられたら引き返したほうが懸命で
ある。「キケン通行禁止」の立て札を横目に長次郎のコルへ向う。

              

                    長次郎のコルへ向う途中からこれから行く北方稜線を望む

ガレ場の下りであるが、コルまでは山スキー時に経験済みで問題ない。コルからは少し登り、いきなり垂直に近いバンドの
トラバース。最初からかなりの緊張である。ルートは池ノ谷乗越までは、長次郎谷側のはずであり慎重にルートを確認しな
がら頻繁に3点支持を交えて進む。テントサイトに絶好の広場を過ぎると見晴らしの良いピークに出て、チンネ、八ツ峰、小窓王
らが見えてくる。振り返ると長次郎ノ頭の向うに剣岳が聳えている。

               

                        左からチンネ、三ノ窓ノ頭、八ツ峰ノ頭

              

                            長次郎ノ頭の奥に本峰山頂 

               

                       稜線はジャンダルム、小窓王、池ノ平山と続く

ここから池ノ谷乗越までの下りは、ガレた急斜面で浮石も多くホールドを確保するのに手間取る。慎重に3点支持でやっと
のおもいで池ノ谷乗越に到着。(後で聞くと、長次郎谷側にもっと楽なルートがあったらしい)

              

                 池ノ谷乗越から、下りて来たルートを見上げる(だいぶ肝を冷やした)

池ノ谷乗越からは、岩の墓場のような池ノ谷ガリーを下る。斜度はそれほどでもないが、ぐずぐずの岩が崩れて嫌らしい。
20分ほどで降り立った三ノ窓は広くくつろげる場所で展望も良く、ここで行動食タイム。
休憩後、小窓王南壁直下を巻くルートに取り付く。下から見上げるととても越えられそうにないが、登ってみると案外楽に
小窓尾根の稜線に出る。

  

      小窓王南壁の登りルート                    小窓王南壁登りから池ノ谷ガリーを振り返る

小窓尾根からは稜線上ではなく、踏み跡のあるトラバースルートを行き急な下りとなる。一箇所雪渓のトラバースがあり、時期
が早いと危険らしいが、今は雪渓も少なく問題ない。草原や這い松帯を過ぎ尾根を下ると小窓で、ここまでくれば安全地帯で
ほっとする。核心部を過ぎた安堵感の中、抹茶ミルクでのんびりくつろぐ。

              

                              小窓雪渓と鹿島槍ヶ岳

休憩後、池の平小屋へ向う。小窓雪渓を10分ほど下り左側の目印から旧鉱山道へ入る。後は緩やかに登って行くと、じきに
池の平小屋である。

                            
                
                          旧鉱山道から小窓を振り返る

予定では池の平小屋泊まりであったが、時間が早いので30分ほど歩き仙人池ヒュッテ到着。風呂があるだけで嬉しいが既に
入れるという事なので、一番風呂をいただく、今日、越えてきた北方稜線を見ながらのビールは最高で満足感に浸る。

28日

              

         朝の仙人池と裏剣、北方稜線の八ツ峰、チンネ、クレオパトラニードル、ジャンダルム、小窓王等が
         素晴らしい

6時過ぎに出発し、1時間20分ほどで二股到着。ここから剣沢沿いに登り真砂沢ロッジ手前の橋を渡りハシゴ段乗越の急登に
取り付く。大汗をかきながら1時間ほどで乗越着。大休止後、内蔵助平へ下る。真砂岳からのルートと合流後、少し下った沢
沿いでラーメンの昼食でのんびりする。
ここから黒部川までの下りは、集中豪雨以来通行止めであったが1週間前に高巻きルートが出来たらしい。下り始めてすぐに
プチ藪こぎ状態。その先もあまり登山道の手入れが悪く草が邪魔で歩き難い。1時間20分ほどで黒部川に到着。
大休止後、よく整備された下ノ廊下を黒部ダムへ、途中、休憩地点にサングラスを忘れて取りに戻るハプニングはあったが50分
ほどでダムに到着。ここからバス乗り場まで、ダムの高さ分の最後の登りを終えるとフィナーレ。観光客で賑わうトローリーバス
で扇沢に行き、温泉とビールで乾杯。
今回は、念願がかなって久々に充実した山行であった。