穂高(奥穂高第二ルンゼ初滑降,涸沢カール周辺)
コースタイム
4/28 上高地8:20〜涸沢14:50
4/29 涸沢7:25〜白出ノコル10:00・11:00〜奥穂高岳山頂11:50・12:40〜第二ルンゼ
      〜涸沢13:20
4/30 涸沢周辺2本滑降8:00〜11:30
5/1  涸沢7:15〜横尾7:55・8・45〜上高地12:25
4/28
自宅を3:45出発。7時10に沢渡着。バスで上高地へ、着いてびっくり。何度もこの時期に訪れているが、かつて見たこと
がないほどの残雪である。準備をして、兼用靴で横尾へ。
雪が多く、横尾から沢筋ルートなので最初からシール登高出来、スキーを下ろせて助かる。アプローチにしてはもったいな
いほどの快晴の中、涸沢到着。涸沢もトイレは何とか使えるが、水場、売店も雪の中。名物の「おでん」をつまみにビールで
乾杯し、明日に備える。

4/29
上空に寒気が入る予報なので行ける所までと、快晴の中スキーを担いで白出ノコルへ向かう。GW前の降雪で最初は
ラッセルに苦労するが、涸沢小屋方面からのルートが合流するとトレースがあり拝借。白出ノコルに着く頃には天気も怪しく
なり穂高岳山荘で1時間ほど様子見。
再び青空が広がり始めたので予定通り奥穂へ。ハシゴ場と雪壁を過ぎれば緩やかに登り奥穂高岳山頂である。GWには
珍しく誰も居ない静かな山頂である。ほとんどが涸沢岳方面のピストンのようだ。北穂方面にもトレースがない。
目の前のジャンダルから笠ヶ岳、白山、立山、槍など、いつもながら見事な眺めである。眼下の岳沢はものすごいデブリが
上高地近くまで続いている。

            

                            迫力のジャンダルム


            

                          真っ白な薬師岳方面

直登ルンゼにはシュプールはなく、久々に滑降したい気持ちもあるが、また次の機会にしよう。
山頂に荷物を置き、第二ルンゼ方面の偵察。第二ルンゼは山頂から20mほど吊尾根側のピークがエントリーポイントで
一気に涸沢カールに落ち込んで、平均斜度で約43度で最大斜度は50度を越える。ピーク以外は一面の雪庇が出ており
核心部の岩場は確認出来ない。
山頂に戻って準備をし、テルモスの紅茶で気持ちを落ち着ける。
祠の横でスキーを付け、ヘルメットを装着し、いざ出発。
トラバース気味に吊尾根側へ20mほど滑りピークへ。唯一雪庇のないこの尾根から右のルンゼに飛び込める。上部は
45度ほどで、その後、左へカーブしながら吸い込まれるように斜度が増しており転倒は絶対に許されない。まずはジャンプ
ターンで高度を下げる。

            

                      上部は雪庇が覆いかぶさっている

表面は薄いモナカであるが、幸いにアイスバーンではない。核心部はここでも確認出来ず、引き返すなら今である。

            

                吸い込まれるように斜度が増す。眼下左上は涸沢ヒュッテ

雪庇の下で長居も出来ず意を決して滑降。更に斜度が増し慎重にジャンップターンで高度を下げる。やがて核心部
の上部にくると岩で雪が途切れているが、左へ10mほどトラバースすればその後は、涸沢まで雪が繋がっているのが
確認出来る。しかし、トラバース斜面も岩と雪のミックスで嫌らしい。

             

                          上部急斜面を振り返る

ここは雪を探しながらのトラバースで、それでも半分以上は岩にスキーかけて一歩一歩慎重に行く。左手で岩を掴み確保
しながら行くが、ピッケルを出して確保すべきであった。最後に大きな岩が障害となる。真下に雪が繋がっているが、狭い
上に、ほんの少しとはいえ、この斜度での直滑降はかなりの緊張を要する。思い切ってトップをフォールラインに向け岩を
過ぎたら左へ急ターンして停止。
何とか滑落せずに核心部を通過出来た。この後は、急斜面が一直線に涸沢へ落ちており油断は禁物である。

            

                         核心部を過ぎると一直線に涸沢へ

ここからは、ショートターンで滑降。雪質は相変わらず薄いモナカで、自分が起こした雪崩に足元をすくわれそうになるの
で、左右に振りながら雪崩を行き過ごす。
徐々に、斜度も緩くなり安堵感が出てくる。高度が下がるにつれ重い雪となり、カールに付く頃には完全に腐った雪で快適
とは程遠い。それでも達成感の中の滑降は気持ちが良く、ヒュッテに着くとギャラリーの祝福を受ける。

            

                       核心部を振り返る。岩場の左から通過


            

                         カールに着いてでほっと一息


            

                        涸沢ヒュッテからの滑降ルート全景


              

1日遅れで到着の高城さんと、時間は早いがヒュッテのテラスから滑降ルートを見ながらビールで乾杯。この1時間後に
稜線の雪庇が崩壊し雪崩溝が出来ており、ギリギリのタイミングであった。

            

                              滑降ルート

第二ルンゼの初滑降を何とか出来て満足。今年の豪雪でもやっと繋がる?程度であり、なかなか条件の見極めが難しい
ルートである。
奥穂高岳山頂からは、直登ルンゼ、扇沢に続き3本目のラインを引く事が出来たが、その中でも最も手強いルートであった。
4/30
朝からガスで視界がない。
涸沢周辺で2本ほど滑り、早々にビールと昼寝を決め込む。この後、雪と雨が強くなる。

5/1
前穂北尾根経由で奥又白方面に行く予定であったが、前夜からの雨で雪が不安定で断念。ヒュッテや県警では稜線への
登山の自粛を訴えている。
7:15横尾へ向け滑降開始。最初は、重く湿った雪にスキーが取られて無様な滑降であったが、本谷出合手前から雪が
締まり、一気に横尾まで滑降。高城さんの到着を待ってスキーを担いで出発。雑誌に出ていた徳沢園の特製ラーメンを楽し
みにしていたが、秋限定とやらで、そばで空腹を満たして上高地へ。

この後、乗鞍高原の温泉民宿で山仲間と宴会し、5/2帰途に着く。