剱岳・池ノ谷ガリー、長次郎谷右俣他
5/21 室堂〜剣沢小屋
5/22 剣沢小屋〜長次郎谷出合〜池ノ谷乗越〜池ノ谷ガリー滑降ー〜三ノ窓〜池ノ谷ガリー登り返し
      〜池ノ谷乗越〜長次郎谷右俣〜剣沢〜雷鳥沢〜雷鳥沢ヒュッテ
5/23 雷鳥沢ヒュッテ〜室堂
コースタム:5/21 室堂10:30〜雷鳥平11:00〜12:30別山乗越〜剣沢小屋13:00
       5/22 剣沢6:50〜長次郎谷出合7:05〜池ノ谷乗越9:50・10:05〜池ノ谷ガリー滑降
             〜三ノ窓10:20.10:45〜池ノ谷乗越11:35・11:45〜長次郎出合12:10・12:30
             〜剣沢小屋13:45・14:05〜別山乗越15:00・15:15〜雷鳥沢ヒュッテ15:45
       5/23 雷鳥沢ヒュッテ〜室堂

池ノ谷ガリーは、何度も計画しながら天気や休みのタイミングが合わず実現出来なかったが、今回やっと条件が整った。

5/21
自宅を4時に出て7:40扇沢着。8時のトロリーバスで室堂へ。
まずは、室堂山荘脇から浄土川方面に滑り込み雷鳥平へ。ここから1.5時間ほどのシール登高で別山乗越到着。
天気も良くのんびり休憩。あとはほんのひと滑りで今日の宿の剣沢小屋到着。
時間があるので、周辺を滑降可能であるが早々にビールで乾杯。
1週間前の情報では二股の通過は可能であったが、2日前の雨でかなり雪解けが進んでおり三ノ窓谷から真砂沢に
抜けられない可能性があるらしい。当初の予定では池ノ谷乗越経由、池ノ谷ガリーから三ノ窓谷へ繋げる予定であったが、
二股が通過出来ない場合再び登り返しとなりビバークとなる可能性もある。もう一つの案としては真砂沢から二股を経由し
三ノ窓谷を詰めて池ノ谷ガリー往復という案で、この場合二股を確認出来るが、ダメな場合は池ノ谷ガリーも三ノ窓谷も滑る
事が出来なく悩むところだ。
ちなみに池ノ谷左俣もゴルジュが通過出来ないらしい。

                       *写真クリックで拡大

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                 何度見てもカガミ谷や大日方面の眺めは良い


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                        今日はこの1本のみ

5/22
さんざん悩んだあげく、池ノ谷乗越から池ノ谷ガリー往復を選択。三ノ窓谷は滑れないがメインの池ノ谷ガリーの滑降は
可能で三ノ窓谷へのラインは次回にとっておこう。
池ノ谷ガリーは剱岳北方稜線上にあり夏は岩の墓場のような場所で、一度下見を兼ねて夏に通っており斜度的には何とか
なりそうだが、スキー滑降に関しては、八ツ峰、チンネ、ジャンダルム、小窓ノ王らに囲まれて日差しが少なくアイスバーン
の事が多いらしい、その場合は死の滑り台になってしまうので危険で、成否は雪のコンディション次第だ。
朝の冷えでガリガリの剣沢を長次郎谷出合まで滑降。ここからシールで広い谷を登る。

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                   徐々に池ノ谷乗越が近づいて来た

「熊の岩」からアイゼン、ピッケルで右俣を登る。左俣は何度も登っているが右俣は始めてだ。稜線からの雪庇の崩壊が気に
なるので八ツ峰側を巻きながら登る。
天気予報ではピーカンであったが、いつも間にか高曇りとなり大丈夫か?
やっとの思いで池ノ谷乗越到着。
まずはガリーのコンディションを確認。下部は見えないが上部の雪質は幸いにザラメで滑降出来そうだ。ここ2日間の好天
と先週の季節外れの雪が結氷化を防いでくれたようだ。

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                        池ノ谷ガリーを覗く

テルモスの紅茶と行動食で十分休憩し滑降に備える。
相変わらす日は差さないが準備をして滑降開始。右は八ツ峰、ジャンダルムで正面の小窓ノ王めがけての滑降は迫力
満点。慎重にショートターンで少し下るとガリー全体が見えて来た。中央の岩が邪魔であるが何とかなりそうだ。
連続ターンで高度を下げる。心地良いターンが決まりエッジ音が池ノ谷にこだまする。しかし、スピードを出し過ぎず、あく
まで慎重に下る。
中間部を過ぎると雪面が硬くなり緊張する。下部ほど柔らかくなると思っていたが、上部の雪は新雪の影響のようで、
それがなかったら上部は手強い滑降だったろう。
小窓ノ王直下まで来たら滑降終了。ここから10mほど右に登り返せば広い三ノ窓でほっと出来る。西側の池ノ谷左俣の
深く切れ込んだ谷とは対象的だ。ここから二股方面を覗くと何となく雪は繋がっていそうであるが予定通り安全第一で登り
返す事にする。
          
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                    池ノ谷ガリー上部を振り返る


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                     滑降斜面中間部から上部を振り返る

           
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                        小窓ノ王と毛勝山

           

                   上部滑降(デジカメが傾いてほとんど雪面のみ)


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                      三ノ窓からのジャンダルム

行動食休憩をしているとブールが壊れているではないか。ガリー滑降時かそれ以前は分からないが何という事だ。
こんな山奥で道具の故障は命取りになりかねない。前後に動くヒンジの片方が取れている。歩いて見ると多少ぐらつくが
支障はなさそうだ。反対側に負荷が掛かるので、それが壊れない事を祈るしかない。
昨年もシーズン最後の日に同じ場所が壊れ修理しているがその時の不備では?

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                ブーツが壊れてしまった、この後大丈夫か?

アイゼン、ピッケルでガリーの登りにかかる。やはり下部のほうが硬くふくらはぎに効く。上部の方が斜度はあるものの雪が
柔らかくむしろ登り易い。暗いガリーはあまり楽しくないのでどうしてオーバーペース気味になる。
途中、振り返ると小窓ノ王を下降中のクラライマーが手を振っている。
再び池ノ谷乗越に到着。ここまで来ればひと安心で大休止。

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                       三ノ窓からの鹿島槍ヶ岳

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                        深い谷の池ノ谷左俣

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                      小窓ノ王を下るクライマー


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             登りの途中から下部を振り返る、わずかにシュプールが残る


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                   夏の池ノ谷ガリー


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                      ジャンダルムと白馬岳


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                     池ノ谷乗越で記念写真

本日のセカンドステージ。
池ノ谷乗越から長次郎谷に滑降開始。上部はややや急斜面であるが「熊の岩」付近から雪質も良く快適。さっきまでの
緊張感から開放され気持ちよくロングターンで一気に飛ばす。気になるブーツも何とか持ちそうだ。

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                        広い長次郎谷

剣沢に出て再び大休止。
ここからシール登高。天気も回復し剣沢小屋までは充実感の登りであった。
予定では、もう1泊の予定であったが、明日の予報が良くないので室堂周辺まで行く事とする。
荷物を回収し、再び登り始めるがペースが上がらない。さっき追い越したパーティーに抜かれ疲労困憊で別山乗越到着。
あまりの疲れにいつもの「みくりが池温泉」は諦め、最も近い雷鳥沢ヒュッテを目標とする。
それなりに雷鳥沢を滑り10分程登れば雷鳥沢ヒュッテ到着。
以前は良く通ったが懐かしい宿である。早速、温泉へ。気持ちの良い汗を流して立山連峰を見ながらの温泉は実に気持ち
が良い。ビールで乾杯。

5/23
夜半からの強風に朝方から雨交じり。
あまりの風の強さに飛ばされそうだ。ほんの室堂までであるが思わぬアルバイトであった。
昨日のうちに下っていて正解だった。
お金払って下るのはもったいないがガラガラのアルペンルートで扇沢へ。
途中、渋滞もなく14:30自宅到着。

           池ノ谷ガリー

                   長次郎出合からのトラックデータ

残念ながら三ノ窓谷は滑る事が出来なかったが、念願の池ノ谷ガリーを滑る事が出来て満足の行く山行であった。