コースタイム:広堀橋6:30〜入道岳12:30・13:05〜登り返し点13:40〜支尾根15:10〜トラバース〜南西尾根〜
古雪沢出合16:30〜広堀橋17:00
今回は、八海山の最高峰入道岳からほとんど記録を見ない入道沢を森さんとのパーティーで目指す。以前から狙っていら森
さんによると雪はつながっていそうらしい。
2:30に自宅を出て、湯沢駅で森さんをピックアップし登山口の広堀橋へ向かう。天気予報では徐々に回復方向であるが、
昨夜の雨が上がりきらず小雨のシール登高開始。林道を5分程歩き阿寺山へのルートを右に見送り広堀川左岸から本格的な
登りとなる。阿寺山の先を目指して東よりにルートをとり樹林の潅木帯を登っていく。なかなか小雨が止まず雨具を脱げないの
で暑い。1300m付近から雨は小雪に変り、更に登るとまもなく稜線で、ほぼ予定通りに三ノ池付近に出る。このあたりか
ら時々太陽が見えるようになり天気は順調に回復しているようだ。五竜岳までは右側の雪庇に注意しながら稜線を行く。
五竜岳手前でガスが取れ正面に迫力ある入道岳が姿を現す。
五竜岳の手前でガスが晴れ入道岳が姿を現す
五竜岳付近で大休止。正面の古雪沢も楽しそうであるが、今日は先を目指す。
この先ルートは頂上方向にまっすぐ登り、雪庇の弱点を突いて稜線へ。ここから1分ほどで待望の入道岳山頂。
山頂からの展望は素晴らしく、特に正面の越後駒ヶ岳、中ノ岳は迫力があり、その奥に平ガ岳、巻機山なども白く輝いている。
迫力の越後駒ケ岳
大日岳をバックに記念写真
十分展望を楽しんだら滑降である。雲海が上下するので入道沢が見えるのを待って滑降開始。
山頂から沢が見えないのでまずは大日岳方向へ滑り、沢の状況を確認。まずまずの雪質で上部は問題ない。ここから一気に
加速し滑降していく。重めではあるがパウダーと呼べる雪質にシュプールを刻む。
入道沢上部の吉田
徐々にノドに吸い込まれて行く
上部斜面を滑降中の森氏
左にカーブしノド状の斜面手前で様子を見ると、右の大日岳側から小雪崩が頻繁に発生し、滑降ラインは雪崩溝となっており
滑降中にくらったら雪崩と共に落下する事になる。また、再びガスが上がって下部の状況が確認出来ないのが嫌らしい。
沢を覗くがガスが上がって下部の状況が確認できない
地図では、ここをある程度下れば斜度が緩むようなので、左岸をトラバースしもう少し下流で沢底に下りる事にする。
このトラバースも40度を越える斜面であり要注意である。気温の上昇と共に雪も緩んで通過した斜面が雪崩となって落ちて
いく。1470m付近まで来たが、相変わらずのガスで沢底の様子が見えないのと、スキーで切るだけで雪崩が発生し、これ
以上は危険という判断で登り返す事で意見は一致。
その判断の直後に、新開道の尾根から雪庇が崩壊したらしく大音響と共に大きな雪崩が発生。その音は20秒以上も続き沢は
かなりデブリに覆われたに違いない。この後、何度か同様の雪崩があり、滑降中止は賢明の選択であった。
稜線までは時間的に厳しく、古雪沢北側の南西尾根が幅があり下れそうなので、そこを滑降する事とし、まずは手前の小尾根
を目指す。今日の条件では沢沿いの滑降ルートはリスクが高い。
そうと決ったらスキーを担いで登り返しに掛かるが、50度近い雪壁と腰まで潜る雪でペースが上がらない。やっと右側の尾根に
出ると、雪が切れており笹と小枝を掴みながらのトラバース。再び雪壁に出ると今度はクレバスの通過と次から次へと障害が
表れ、大汗をかきながら何とか目的の南西尾根が見渡せる場所へ到着し大休止。
登り返しの途中から入道沢を見る
手前の沢も雪質が良ければ滑降可能であろうが、ここも40度近い斜度があり今日はここをトラバース。雪庇が無いので大きな
雪崩はないが落下した雪が雪崩溝を作り嫌らしい。雪崩のないタイミングを見計らってトラバースし目標の南西尾根に到着。
ここから古雪沢を覗いてみるが、ここにもデブリが出ており予定通り南西尾根を滑降開始。
古雪沢上部は快適そうであるが中間部以降にデブリ
重めの雪質であるが、ショートターン、ロングターンで久々に快適な滑降。それも束の間、再び斜度が急になるとスキーで切る
度に雪崩を誘発。本来なら楽しい斜度であるが、様子を見ながらの滑降で時間がかかる。1000m付近からガスが出て地図と
GPSで慎重にルートファンティングしながら滑降し。尾根が不鮮明になったあたりから下を見るとデブリに覆われた入道沢が見
える。少し下流側から沢に下りると丁度デブリの末端で、ここから少し滑ると古雪沢との出合であり大休止。
ここまで来れば、ほぼ危険地帯は脱出しやっと一息つける。疲れた体にテルモスの紅茶は旨い。
広堀川と名前を変えた沢をほぼ直滑降で滑る。途中、2箇所ほどデブリに覆われていたがスキーを履いたまま通過が可能で
最後の落ちかけたスノーブリッジを渡り林道を緩やかに滑れば広堀橋に到着。
今日の山行は、体力、技術等、山スキーの総合力が問われる山行であった。なにより無事下山出来て良かった。
この後は、ビールで乾杯。
麓から入道沢上部を見上げる