穂高(涸沢〜涸沢槍のコル〜滝谷D沢〜横尾左俣谷
〜涸沢、その他涸沢周辺)

5/18
朝から雨で予報では、午後は止むとの事で昼過ぎに上高地出発とするが、そうはうまくゆかず小雨の中、兼用靴で歩き始める。明神あたりで止むが履き替えるのもめんどうなので横尾まで兼用靴のまま。今日は横尾山荘泊まり。

5/19
天気は快晴であるが、上空の寒気の影響で不安定な天気が予想される。
5:30横尾出発。本谷出合からシール登高で8:20涸沢ヒュッテ着。荷物を預けてとりあえず北穂を目指すが、早くも稜線にガスがかかりはじめ、小雪が舞ってくる。2650m付近で行動中止し、涸沢までのまずは1本。その後、雪が本降りになヒュテで、ビールとおでんの後昼寝をむさぼる。

5/20
いよいよ今日は滝谷滑降であるが、天気予報では引き続き上空に寒気が残り、平地の天気予報でも曇り。朝のうちは昨日同様快晴。

          

                    快晴の涸沢、まずは写真中央の最低コルを目指す

6:45出発
北穂〜涸沢岳の最低コルを目指すが、早くも屏風岩や前穂北尾根方面はガスに包まれる。上部は昨日降った新雪が5cmほどありアイゼンのダンゴに苦労しながら9:15最低コル到着。ここから涸沢槍下部まで夏道を行く。その間、何とか見えていた滝谷側が一気にガスに包まれ、涸沢側しか視界がきかない。やはりダメか?あきらめてのんびり休憩し、涸沢への滑降準備をしていると時々ガスが取れ、滝谷D沢上部が見えてきた。

         
    
                           涸沢槍直下から涸沢を覗く 


          

                              滝谷D沢上部

後の天気が心配であるが行くしかない。まずは雪の付いてるところまで岩場を慎重にクライムダウン。
10:30スキーを付けていよいよ滑降開始。
横滑りで様子をみると、表面の新雪が落下し、その下はカチンカチンのアイスバーンで滑り台状態、とても滑降出来る状態ではない。転倒でもしようものなら一気に滑落し岩にぶつかりそうである。
横滑りで高度を下げ、斜度、雪質の多少緩くなったところで思い切ってジャンプターンを試みる。何とかなりそうで、その後連続ターンで高度を下げる。途中いたる所に、落石が点在し、それを避けながら滑降するが何度も踏んでしまい、ソールは既にボロボロ。滑降中も時々落石があり、写真を撮る時以外は停止せず一気に下る。

          

                            D沢上部を振り返る


          

                               D沢上部から下をのぞく


           

                             D沢下部でのシュプール 

         
               
                         夏の南岳新道からの滑降ライン


斜度も緩み広くなるとA,B,C,D,F各沢の合流点でありここで滑降終了。ここからA沢を登り滝谷を出るまで油断は出来ない。
11:10再びスキーを担いで登りはじめる。
このころからいかにも滝谷?といった雰囲気の濃いガスに包まれ、気温も急低下。時おり落石の音が谷に響き気分の良いものではない、
2、3度大きな落石がバウンドしながら落下し肝を冷やし、ほんとに涸沢に戻れるのか不安になる。上部に上がると共に吹き上げの風が
一層強くなり寒い。雪が切れて200mほどガレ場を登り
12:50なんとか大キレット上のA沢のコルに出るとそこは別天地。横尾谷側は風が無く暖かく大キレットや南岳がガスに見え隠れして青空ものぞく、何よりさっきまでのように周囲が岩ではなく、眼下に大キレット東面の横尾左俣にびっしり付いた雪が滑降意欲をそそる。

          

                             横尾左俣谷の大斜面




        大キレット上のA沢のコル                                A沢のコルから南岳

13:05滑降開始
さっきまでの緊張感が嘘のように開放感一杯の斜面にシュプールを刻む。下部はさすがに落石が目立つものの滝谷の比ではなく、13:30歩き慣れた涸沢へのルートに合流。休憩後、シールを付けて再び涸沢目指して登り、満足感の中14:45ヒュッテ着。ビールとおでんで
乾杯。
           

                                 涸沢槍の雄姿

5/21
朝起きると雪である。徐々に天気は回復傾向で涸沢槍方向の2700m付近まで登りヒュッテまで1本滑降。荷物を回収し再び本谷まで滑降し、その後スキーを担いで上高地へ。